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実は身近な不妊の話

生理不順や生理痛が即不妊ということはありませんが、 かといって、生理が順調ならば必ず妊娠できるというわけでもありません。 女性だけではなく男性側に原因があることもあります。 現在、夫婦の10組に1組が不妊と言われており、不妊は実はとても身近な話です。

不妊の定義

不妊症は「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、性生活をおこなっているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合」と定義されています(日本産科婦人科学会編 産科婦人科用語集より)。 「一定期間」は日本では2年とするのが一般的です。
また、出産経験があるのに2人目以降を妊娠できない場合を「続発性不妊(二人目不妊)」、妊娠しても自然流産を3回以上繰り返した状態を「習慣流産(不育症)」といいます。

「不妊症」と「不育症」は子どもができないという点では同じですが、原因や治療については異なりますので、自分の体を知る、守る、という意味でも、 気になる症状があれば、婦人科で受診して相談することが大事です。

不妊の現状

最近のデータによると、不妊の悩みを持つカップルはおよそ240万組、そのうち不妊治療を行っているのは、46万人以上と推定されており、 夫婦の10組に1組が不妊と言われています。 様々な状況から、不妊症の底辺は広がる兆しを見せているとも言われています。

・厚生労働省 2006 第1回「特定不妊治療費助成事業の効果的、効率的な運用に関する検討会」資料
・久保春海 2007 「不妊カウンセリング 産婦人科治療 Vol.95 No.2 149-153」

女子の年齢別出生率

女子の年齢別出生率

妊娠率を下げる最も大きな原因の一つは、女性の妊娠・出産年齢です。
卵巣にある原子卵胞(卵子のもとになるもの)は女性がまだ胎児の頃に一番多く、700万個と言われていますが、初潮の頃には30万個、 1000個程度になったら閉経します。加齢とともにその質・量が下がっていくのです。

・佐藤孝道 メディカ出版「女性に寄り添う看護シリーズ2 不妊に悩む女性への看護 ― 不妊の基本的な医学的知識と治療中の看護の実際」

体外受精でも妊娠しない現状

年齢別治療周期数

残念ながら現代の生殖医療でも、不妊治療をすれば必ず妊娠・出産できるとは限りません。
体外受精による妊娠率は、20歳代が28%前後ですが、途中で流産してしまうことも多く、 実際に出産に至るのは18%前後と言われています。 その後、妊娠・出産率は30代半ばから明らかに低下し、39歳で出産に至るのは10%未満、40歳以上で5%程度、43歳ではごくわずかなのが現状です。

・「わが国のARTに求められるもの:最近のARTの臨床成績からみて」 第26回不妊カウンセラー・体外受精コーディネータ養成講座 演者:国際医療技術研究所 IMT College 理事長 荒木重雄

妊娠・出産を考えたライフプラン

女性の場合、仕事が充実する時期と、妊娠・出産適齢期(20代~30代前半)が重なる可能性があります。 どちらを取るか、両立させるかに悩む時が来るかもしれません。
キャリアを積んでから30代後半~40代前半で妊娠・出産を望む方も多くいらっしゃいますが、 人生経験や経済力を得ても、生物学的には妊娠しにくくなるのが現実です。
妊娠・出産・育児のことを考えて人生設計をする一方で、「計画はあくまで計画」という柔軟性を持つことも大切です。 自分がこうありたいという希望が叶えられないこともあるからです。 そんな時には、プランを修正したり試行錯誤を重ねていくことも必要かもしれません。
今のあなたのライフプランはどのようなものでしょうか?

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